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進行中: Testamenti Novi (1564)

挿絵入りの小型新約聖書。繰り返しを含め、90以上の挿絵が収録されています。リヨンの印刷者セバスチャン・グリフィウス(1493-1556)が1537年に最初に出版した版には、挿絵は「使徒行伝」と「黙示録」の部分のみに収録されていましたが、以後の版より大幅に挿絵が増やされ、1539年・1540年・1541年・1542年と版を重ねました。1539年の本エディションは、多数の挿絵を収録した最初の版になります。本書は1542年に出版され、グリフィウスの死後も後継者により続けられた印刷所で刊行された1564版です。タイトル・ページにグリフィウスを描いたプリンターズ・マークが入っています。グリフィウスは、ヨーロッパの多くの地域の学校教科書を手掛ける大手出版業者であると同時に、ラブレーら人文主義者たちの著作を多く出版しました。
イエスが起こした奇跡やたとえ話、またエルサレム入城、磔刑、復活などの場面を描いた挿絵が多数収録されています(繰り返しを含む)。グリフィウスは1641年には八折版の旧約・新約聖書を刊行していますが、本小型版には、八折版にはない挿絵が2枚含まれています。マタイによる福音書の第11章部分にあたる第17葉(折丁C1)が欠けていますが、挿絵は全て揃っています。

イエスの奇跡、病人をいやす場面(p. 29)

 
エルサレムに迎えられる場面(p. 76)

イエスの磔刑(p. 110)

イエスの復活(p. 114)

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目的: Global Digital Access

  本プロジェクトは、東京の 青山学院大学 が所蔵する貴重書へのオンライン アクセスを促進することを目指しております。図書館システム内の貴重な聖書やその他の宗教版のデジタル化に重点を置いています。ワシントンにあるフォルジャー・シェイクスピア図書館( Folger Shakespeare Library )と提携し、 Aoyama Vision Initiative の支援を受けて2018年に開始され、現在も青山学院大学による組織的支援を受けて継続しています。新型コロナウイルスの感染拡大により、一時は活動が停滞していましたが、現在、 青山学院大学情報メディアセンター と同大学の 人文科学研究所 からの寛大な支援により、活動を再開しています。 Biblia Latina  (1478) 青山学院アーカイブ は 大学図書館システム と提携し、歴史的に重要な資料を数多く所蔵してい ます。この資料にはラテン語や日本語、英語、その他の言語で書かれた宗教書の貴重な印刷版が含まれます。青山学院大学図書館に所蔵されている貴重書は、日本にあるキリスト教の貴重作品群の中でも特に状態の良いものとなっています。また、図書館科学、宗教、 (シェイクスピアに焦点を当てた) 近世研究 におけるデジタル開発に関連する講演者を主催し、対面またはオンラインでイベントを開催します。 このように、 プロジェクトチーム によって良い保存状態を保つ努力がなされ、私たちが所蔵する貴重書が1ページずつ、詳細な注釈がつけられながら、デジタル化・カタログ化されています。青山学院資料センターの職員の皆さまには本プロジェクトを支援いただき、厚くお礼申し上げます。あわせて、私たちは青山学院宗教センターとも緊密に活動しており、宗教礼拝に対して差別なく、宗派を超えたアプローチをするうえで宗教センターに支援を受けています。 グローバルデジタルアクセス 日本の歴史における新たな時代の幕開けにあり、デジタル時代の成長を続ける中で、オンラインでも閲覧可能な選定版を作成することによって、特別な作品群に誰でもアクセスが可能な環境を作りたいと私たちは願っております。この目標の達成のため、青山学院大学はこのほどフォルジャー・シェイクスピア図書館( Folger Shakespeare Library ...

講演とイベント

2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、 対面での講演会やイベントを開催することが難しくなりましたが、このプロジェクトでは稀覯本のデジタル化以外の試みへと活動を広げることになりました。2020年より引き続き2021年も、  Speaking of Shakespeare と題してオンライン上で連続の対話をおこない、公開していきます。(映像の CC をクリックすることで英語字幕を表示することができます。 2022 年 6 月におこなった、ハーバード大学の Stephen Greenblatt に彼の著書 The Rise and Fall of Adam and Eve と私たちの使命である宗教的なテーマについての対話: トークの全編はこちらから:  Speaking of Shakespeare ノースカロライナ州立大学の John Wall と初期近世ロンドンのセント ポール大聖堂をデジタルで再現した Virtual St Paul's Cathedral Project についての対話:   エピソードの全編はこちらから:  Speaking of Shakespeare 2022年10月におこなった、オハイオ州立大学の Christopher Highley 。こちらは、 初期近代ロンドンの地図をデジタル化されたものについての短いク リップ: エピソードの全編はこちらから:  Speaking of Shakespeare 2022年3月におこなった、フォルジャー・シェイクスピア図書館のPeggy O'Brien 氏との対話 2021年7月におこなった、バーミンガム大学シェイクスピア研究所のTiffany Stern 氏との対話 2021年4月におこなった、フォルジャー・シェイクスピア図書館の協力により進められているプロジェクト  Lost Plays Database の編者の1人、David McInnis 氏との対話 2021年5月におこなった、 Digital Renaissance Editions など多くのプロジェクトに関わっているBrett Greatley-Hirsc...

プロジェクトチーム

本プロジェクトチームは、ワシントンDCのフォルジャー・シェイクスピア図書館( Folger Shakespeare Library )のデジタルアクセスチームと合同でこのプロジェクトに取り組んでいます。また、青山学院大学の宗教委員会とも密接に提携しています。本学の宗教委員会は、分け隔てなく特定の宗派に偏らないキリスト教へのアプローチの促進を促しています。 本プロジェクトでは、実物の本をオープンアクセス用のデジタル画像に変えるために技術的な面で努力をしていますが、これは写本に収められた作品を再生産し流通させるために可動活字(movable type)を使っていた15-16世紀の初期印刷業者たちが重ねていた努力と基本的に違いはありません。初期近代に印刷された本や写本を今現代の全ての人に利用可能にするために、手作業による細心の注意を必要とする取り組みを継続しています。 チームメンバー ダブズ トーマス, Thomas Dabbs: 共同研究者 青山学院大学文学部英米文学科教授。シェイクスピアと英語聖書の授業を担当する。また、日本デジタル・ヒューマニティーズ学会(JJADH)の論文誌『デジタル・ヒューマニティーズ』の次期編集長。専門分野は初期近代演劇と宗教。 笹川渉: 共同研究者 青山学院大学文学部英米文学科教授。17世紀初期の詩や、シェイクスピアやその他の詩人、特にジョン・ミルトンの作品に焦点を当ている。最近の研究の関心は、デジタルの方法を使って行う初期近代の印刷の歴史と内乱期の王党派の詩集。 外岡尚美: 元研究責任者 青山学院大学文学部英米文学科教授。元副学長。青山学院大学のプログラムと新たなグローバル構想をより広く周知させるよう活動し、本プロジェクト設立のために中心的な役割を果たした。専門分野はアメリカやイギリスの演劇に主眼を置いた、ジェンダー研究と異文化研究。 長山 アビゲイル 美香: デジタル化プロジェクト研究補助員 青山学院大学、文学部英米文学科に在学。本プロジェクトではデジタルアーカイブの発展と索引作業およびウェブサイト管理を担当。卒業後、青山学院大学大学院に進学し、アメリカのゴシック文学とホラー文学の研究を続ける予定。 フィルソン サスキア 琴音: デジタル化プロジェクト研究補助員  青山学院大学、...