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追加資料

2021年の秋、フォルジャー図書館がミランダ・プラットフォームに2版を追加しました。その1つはラテン語版聖書のBiblia Sacra (1662)で、全文をオンラインでご覧いただけます

Biblia SacraはAntonius Vitréにより17世紀にパリで印刷され、当時の王によって公認された長大な版本です。大きさは44センチメートルで、ページ数は700ページを超えます。ラテン語で印刷され、当時の多くの文献と同様に、ページ番号に誤りが散見されます。この版には地図が含まれています。

もう1つはMilton's History of Britain (1670)です。この文献は著名なイギリス詩人による歴史書で、こちらも全文をオンラインでご覧いただけます

「その起源は複雑で判然としない。おそらくMiltonは1647年に執筆を開始したのだろう。この年は第2次大内乱の勃発直前だった。彼は1649年初頭に政府の外国語秘書に就任し、第4版の執筆を中断した。彼が執筆を再開したのは1655年から1657年の間と考えられ、書きかけだったヘイスティングズの戦いの物語について筆を進めていった。もっとも彼は、自身が生きている時代まで記述を完成させていくつもりだったのであるが。出版用に書物を準備するにあたって彼はいくらかの調整を施したと思われるが、当時の彼がその本を発行することをなぜ決めたのか、今となっては知る由もない。また、政治的危機の最中にあってMiltonの関心が時事に向いていたと当然考えられる中、長大な国史の記述に取りかかることを決めた理由についても不明である。歴史書の背景にある動機となる信条は、各時代を通したイギリス人の国民性を評価し、イギリス史上の重大な局面において、政治的自由によってもたらされた試練に彼らがいかに対応していったかを検証することであると考えられる。」
––Graham Parry, The Milton Encyclopedia. Yale UP, p. 151.


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講演とイベント

2020年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、 対面での講演会やイベントを開催することが難しくなりましたが、このプロジェクトでは稀覯本のデジタル化以外の試みへと活動を広げることになりました。2020年より引き続き2021年も、  Speaking of Shakespeare と題してオンライン上で連続の対話をおこない、公開していきます。(映像の CC をクリックすることで英語字幕を表示することができます。 2022 年 6 月におこなった、ハーバード大学の Stephen Greenblatt に彼の著書 The Rise and Fall of Adam and Eve と私たちの使命である宗教的なテーマについての対話: トークの全編はこちらから:  Speaking of Shakespeare ノースカロライナ州立大学の John Wall と初期近世ロンドンのセント ポール大聖堂をデジタルで再現した Virtual St Paul's Cathedral Project についての対話:   エピソードの全編はこちらから:  Speaking of Shakespeare 2022年10月におこなった、オハイオ州立大学の Christopher Highley 。こちらは、 初期近代ロンドンの地図をデジタル化されたものについての短いク リップ: エピソードの全編はこちらから:  Speaking of Shakespeare 2022年3月におこなった、フォルジャー・シェイクスピア図書館のPeggy O'Brien 氏との対話 2021年7月におこなった、バーミンガム大学シェイクスピア研究所のTiffany Stern 氏との対話 2021年4月におこなった、フォルジャー・シェイクスピア図書館の協力により進められているプロジェクト  Lost Plays Database の編者の1人、David McInnis 氏との対話 2021年5月におこなった、 Digital Renaissance Editions など多くのプロジェクトに関わっているBrett Greatley-Hirsch 氏との対話 以下は2020年10月から2021年2

進行中: Testamenti Novi (1564)

挿絵入りの小型新約聖書。繰り返しを含め、 90 以上の挿絵が収録されています。リヨンの印刷者セバスチャン・グリフィウス(1493-1556)が 1537 年に最初に出版した版には、挿絵は「使徒行伝」と「黙示録」の部分のみに収録されていましたが、以後の版より大幅に挿絵が増やされ、 1539 年・ 1540 年・ 1541 年・ 1542 年と版を重ねました。 1539 年の本エディションは、多数の挿絵を収録した最初の版になります。 本書は1542年に出版され、グリフィウスの死後も後継者により続けられた印刷所で刊行された 1564 版です。 タイトル・ページにグリフィウスを描いたプリンターズ・マークが入っています。グリフィウス は、ヨーロッパの多くの地域の学校教科書を手掛ける大手出版業者であると同時に、ラブレーら人文主義者たちの著作を多く出版しました。 イエスが起こした奇跡やたとえ話、またエルサレム入城、磔刑、復活などの場面を描いた挿絵が多数収録されています(繰り返しを含む)。グリフィウスは 1641 年には八折版の旧約・新約聖書を刊行していますが、本小型版には、八折版にはない挿絵が2枚含まれています。 マタイによる福音書の第 11 章部分にあたる第 17 葉(折丁 C1 )が欠けていますが、挿絵は全て揃って います。 イエスの奇跡、病人をいやす場面(p. 29)   エルサレムに迎えられる場面(p. 76) イエスの磔刑(p. 110) イエスの復活(p. 114)